白紙などの炭素鋼 または 炭素の度数の高めの青紙系合金鋼ですと 真っ赤に錆びてしまった状態で 中のほうまで錆が侵食して、刃物としては、壊滅的打撃なのですが、この鋼 何とも良く錆が落ち、根が浅いのです。
不審に思いながら、人造砥石や生地の細かい天然砥石で刃付けをしましても 全然光ってこずに 黒光りまでです。
裏も同様押せたのか否かわかんないような感じで、はっきりいって悩みました。
刃返りも殆ど発生せずで硬い鋼かな?と思うところでしたが・・・ しかしながら 裏だししますと、たたいていないところまで なだらかに起きてきて異常に粘っこいことが推測されて益々 不気味で気持ち悪い思いをしたものです。
研ぎはどうやら 非常に癖がありますが 天然砥石で下りよろしく生地も細かいもので 丹念に刃付けをすればよさげな刃が付きまして,「こんなの初めてで面白いな」ということで、
押さえもないため割り台に一枚で植えて見たところ 実に肩軽く切れます!一枚でしか試していないのですが、刃先に雪が積もったように白く見える切れ止んだといわれる状態でも、木口削りなどで良好の切れ味を永く維持できます。
薄く削って良し、永く削って良しで、 職人さん向けの立ち回りでは抜群だと思い、お気に入りです。
後に、この鉋を二代目常三郎さんに見ていただき 初代の作品で昭和30年代までに燕鋼で別に誂えたものだということが解かり「こんな古いもん専務(三代目)では知らんぞ!!」と非常に喜んでいただきました。
私は切に思います。
昭和のその頃の時勢では、既成の無難な鋼で量産すればその分売れて行った時代です。
そのような時代でもなお慢心すること無く、今でも驚くような素性の鋼を誂えてみようと思う初代さんの 探究心溢れる試みに頭が下がる思いです。皆様はどのようにお考えでしょうか?